HapInSアドベントカレンダー2024、24日目! クリスマスイブですね!
こんにちは、カイセイです。
クリスマスイブでもあり、今年もあと1週間しかないと考えると、この2024年も色々あったなと感じています。
転職も一大イベントのひとつでした。
簡単にいうと、今回のテックブログは「前職って何していたの?」という内容です。
これを読んで少しでも情報教育の内容について知っていただければと思います!
はじめに
高校の情報科について、皆さんはどのくらいご存じですか?
実は私は昨年まで高校で情報科の教諭をしていました。今年からエンジニアとして働いているのですが、社会人の方たちによく「情報の先生って何? どんなことを教えるの?」と尋ねられます。
私は高校3年生のときに情報の授業(社会と情報)を受け、その後大学で教員免許を取得し、私立高校で教壇に立って情報の授業(情報I)をしてきた経験があります。
この情報という授業は2003年度*1から始まった比較的新しい教科で、特に30代以上の方には馴染みがないかもしれません。
それだけに、情報科がまだ多くの方にとって馴染みが薄い科目であることを実感しています。
そこで今回は、2025年から大学入学共通テストに導入される共通科目「情報I」について解説します。情報科の内容や、その背景にある小中学生からの情報教育についても簡単に触れながら、情報教育の全体像をお伝えします。
情報教育の全体像
小・中学校における情報教育
- 小学校
2002年度からコンピュータ活用が始まり、2020年度にはプログラミングが必修化されました。これにより、簡単なプログラムを通じて論理的思考を育む教育が進められています。
私も小学生の頃、当時新しく改装されたコンピュータ室でWindows7に触れた記憶があります。
- 中学校
技術・家庭科の中で、情報技術を学ぶ単元があります。2012年度からは計測・制御分野が導入され、2021年度からはネットワークやプログラミングも必修化されています。
私も教員時代に中等部の技術の授業を覗くと、コンピュータの五大装置についてやHTML、CSSを中学生が学んでいたのを見ました。
高校「情報」の歴史と内容
情報科の変遷
年度 | 科目名 | 特徴 |
---|---|---|
2003年度 | 情報A | 情報の活用の実践に重点を置いた科目。約70%が履修。 |
情報B | 情報の科学的理解に重点を置いた科目。約10%が履修、開講は少なめ。 | |
情報C | 情報社会に参画する態度に重点を置いた科目。約20%が履修。 | |
2013年度 | 社会と情報 | 情報AとCを統合。情報の活用や社会的意義を学ぶ。情報社会に参画する態度に重点。約80%履修。 |
情報の科学 | 情報Bをベースに、アルゴリズムやデータ構造など科学的内容を学ぶ。約20%が履修。 | |
2022年度 | 情報I | 全員必修科目。文系・理系を問わず情報活用能力の基礎を学ぶ。約100%履修。 |
情報II | 発展的内容を扱う選択科目。プログラミングやセキュリティなど、より高度な内容を学ぶ。 |
私が高校3年生の時に「社会と情報」を受けたときには、タイピング練習やWord、Excel、PowerPoint、情報の活用や社会的意義を学び、少し科学的な内容も扱っていた印象があります。
高校「情報I」の学習内容
情報社会の問題解決
情報技術を活用して課題を発見し、解決策を導き出す力を養います。情報モラルやセキュリティ、情報の信頼性判断も含まれます。コミュニケーションと情報デザイン
効果的な情報の伝え方やデザインの基礎を学びます。プレゼンテーション資料やウェブサイト作成が例として挙げられます。コンピュータとプログラミング
アルゴリズムの理解やプログラムの基礎を学びます。具体的には、PythonやJavaScriptなどのプログラミング言語を用いたプログラムの作成やアルゴリズムの設計が含まれます。情報通信ネットワークとデータの活用
ネットワークの仕組みや、データの収集・分析・可視化方法を学びます。通信プロトコルやデータベースの利用、データ分析手法などが含まれます。
大学入試共通テスト「情報I」の導入
なぜ情報Iが大学入試に加わるのか?
2025年度から大学入学共通テストに「情報I」が追加されます。この背景には、現代社会で情報技術が不可欠な存在となっていることがあります。特に、データ活用やプログラミングの基本的なスキルは、どの分野でも求められる力となっています。
大学入試で評価されるポイント
情報活用能力
データの収集・分析を通じて課題を解決する力。表計算ソフトを用いたグラフ作成や分析スキルが重要視されます。情報モラルとセキュリティ
情報倫理や個人情報の適切な取り扱い、サイバーセキュリティへの理解が必要です。
またこの大学入試の内容については、いずれ詳しく紹介したいと思います。
情報教育の課題と実際に教員を経て
現在の課題
地域や学校間の格差
情報教育の進度や内容が学校ごとに異なり、受験生の準備状況に差が生じる可能性があります。教員のスキル不足
技術進展に追いつけない教員もおり、最新の教育内容を実践するのが難しい場合があります。入試の公平性
新科目としての基準や評価方法が確立される必要があります。
実際に教員を経て
GIGAスクール構想によって生徒一人1台のタブレットやPCを持っている環境はできていたと思います。私の高校時代とは全然変化していました。しかし学校によってPCのスペックや教えられる教師のスキルの違いが他の教科よりも顕著に違うと思われます。 また、生徒も得意不得意や興味のあるないも差が激しい科目だなと感じました。私としては文系でも理系でも大事な科目だと思います。例えばSNSの使い方の問題といった情報社会を生きる上では情報モラルや情報リテラシーが必要不可欠です。情報教育によって、これらの点も徐々に良くなっていき社会全体からみても良い科目になっていくことを願っています。
さいごに
「情報I」は、今の情報社会、これからの超スマート社会を生き抜くために欠かせないスキルを身につける重要な科目です。
大学入試の科目として導入されることで、情報教育がより注目されるとともに、その内容が進化し、日本全体で情報リテラシーが向上することが期待されています。
このブログ記事を通じて高校生や大学進学を考えているお子さんがいる方はもちろん、そうでない方も、情報Iを通して得られる知識や能力は将来必ず役に立つはずです。
このブログ記事が、情報Iに対する理解を深める一助となれば幸いです。
*1:共通教科「情報」のことを指し、専門教科「情報」はこの記事では取り扱わない