はじめに
アプリ開発やプロダクト開発を行う際、
なるべく低コストでプロダクトを開発したい
と思ったことはないでしょうか?
HapInSではプロコードの開発はもちろんのこと、ノーコードによる開発支援も提供しております。
不確実性の高い新規事業では、なるべく低コストで開発しニーズにあった解決策を提供できるか、そのプロダクトがお金を払ってまで利用したいと思ってもらえるか、という仮説検証が必要になります。
しかし、これを理解して実施しているスタートアップは実は少ないんです。
下の二つの図は「IPA調査分析ディスカッション・ペーパー」から引用したものですが、「顧客発見」と「顧客実証」という、ターゲットとする顧客のニーズ調査やMVPを使った仮説検証の手法の活用・認知度についての調査で日本と米国で大きな差があることがわかりました。
顧客発見
質問文:貴社では、顧客発見・顧客理解のために、次の調査手法をどの程度の頻度で使いますか。利用頻度を5段階でお答えください。
顧客実証
質問文:Minimum Viable Product(MVP)を用いたビジネスモデルの検証において、次の各要素はどの程度重要視して検証しましたか。
引用元:「成長しない日本のソフトウェアスタートアップ 国内競争を促進してエコシステムを創出する」IPA調査分析ディスカッション・ペーパー2023-01:独立行政法人情報処理推進機構 調査分析室 公開日:2023年9月14日
これらの手法の大元として考えられている「リーンスタートアップ」は、起業や新規事業開発の手法として存在しますが、米国と比較すると日本ではまだまだ定着していないようにも思えます。
今回の記事では、リーンスタートアップの基本的な知識について紹介し事業開発・プロダクト開発のヒントになればと思います。
リーンスタートアップとは
リーンスタートアップ(Lean Startup)は、新しいビジネスやプロダクトを効率的に立ち上げ、成長させるための概念です。この概念は、アメリカの起業家であるエリック・リース(Eric Ries)によって広められました。リーンスタートアップでは主に、最小限のリソースで起業や新規事業の立ち上げを目指す手法として知られています。
リーンスタートアップの主なプロセスは以下の5つのサイクルを回していきます。
仮説
ビジネスのアイデアやプロダクトについて明確な仮説を立てます。この仮説は、市場がどのようなニーズを持っているのか、製品やサービスがそのニーズに対してどのように解決するのかについての基本的なアイデアです。
構築
次に、最小限のリソースでMVP(Minimum Viable Product)を開発します。このMVPは、仮説を検証するために必要最低限の機能を用意します。
計測
MVPが構築されたら、それを用いて定性・定量的なデータを収集します。このデータは通常、ユーザーの反応や行動、製品の使用状況など、仮説を確認または否定するための具体的な指標(KPI)に関連するデータです。
学習
収集したデータを分析し、仮説が正しかったのか、修正が必要なのかを評価します。このフェーズで得られた知見は、次のアクションを決定する際の重要なヒントとなります。
意思決定
最後に、学習した結果に基づいて次のステップを決定します。仮説が正しければその方向で進みます。もし仮説が誤っていた場合は、新たな仮説に基づいてピボットをします。
これらのステップは繰り返し行われ、継続的な学習と改善を通じて、事業やプロダクトを成長させていきます。 リーンスタートアップの手法は、リソースを効率的に使用しながら高い不確実性の下で進行するプロダクト開発に特に有効と考えられます。 例えば昨今では技術の進歩が著しく、半年前にAIが登場したことによって大きく市場が変化したことからも、常に時代や市場のニーズに対して仮説検証を繰り返すことはスタートアップだけではなくすべての企業に必要なスキルと考えています。
リーンスタートアップとこれまでの起業の違い
次はこれまでの起業とどのような点で異なるかを紹介します。
戦略
- 仮説と実験のサイクルを基盤とする
- MVPを通して、早期のフィードバックを収集
- Pivot(方向転換)の考え方を持ち、市場のニーズに合わせて戦略を頻繁に修正
従来の起業手法
- あらかじめ詳細なビジネスプランを策定
- 市場調査や予測に基づき、長期的な戦略を立てる
新製品・サービス開発プロセス
- リーンスタートアップ
- 構築-計測-再考案の繰り返しながら大きく構築していく
- 顧客との接点を増やし、早期に学びを得る
従来の起業手法
- 製品を完成させた後に市場投入
- 顧客の反応は製品の完成後に収集
エンジニアリング
- リーンスタートアップ
- 迅速なリリースと繰り返し改善を優先
- アジャイル開発がメイン
従来の起業手法
- しっかりとした製品をリリースすることを優先
- ウォーターフォール開発が一般的
組織
- リーンスタートアップ
- 順応性の高い組織
- 各部門を兼任したりオールラウンドに立ち回る
従来の起業手法
- 階層的で形式的な組織構造
- 各部門の役割が明確
失敗の許容
- リーンスタートアップ
- 失敗は学びの一部と捉え、失敗からの学習を重視
- 早期の段階での小さな失敗を受け入れる
従来の起業手法
- 失敗は避けるべきものと捉えられることが多い
- 大きなリスクを避けるために計画的に進行
戦略から組織まで日本の伝統的な考え方とは少し異なるかもしれませんが、小さく素早く動く必要のあるスタートアップにとっては「より順応」「とにかくトライ&エラー」で立ち回る必要があります。
さいごに
いかがでしたでしょうか。 今回はリーンスタートアップの概要を紹介しましたが、起業や新規事業を成功に導くためには再現性の高い手法を用いる必要がある、ということがわかるかと思います。
そして日本ではまだこれを意識して実施しているスタートアップも少ないという事実があります。
限られた資金のなかでこれらを理解し実行できると、それだけで他のスタートアップからアドバンテージをとることができると思います。
今回は簡単な紹介まででしたが、次回以降はその具体的な方法について触れていきたいと思います。
また、もっとリーンスタートアップについて知りたい方は、考案者であるエリック・リースの起業体験がリアルに描かれているこちらを読むと面白いと思います。
我々HapInSでは、スタートアップの開発支援の際は、ただ開発するだけではなく仮説検証の段階から伴走してお手伝いしておりますのでもし興味があれば一度ご連絡ください。