はじめに
2023年9月25日に、ファーウェイ社は新製品発表イベントを盛大に開催されました。イベントにおいて、同社が主導して研究開発してきた最新の近距離無線通信技術「星閃(NearLink)」を同社独自開発の新世代OS「鴻蒙OS(HarmonyOS)」のエコシステムに導入することを発表しました。
最新の近距離無線技術NearLinkのロゴ(画像はSparkLinkのニュースリリースから)
ここで簡単に「NearLink」と従来の「Bluetooth」の違いを解説します。
NearLinkって何?
NearLinkは、BluetoothとWi-Fiの特性を組み合わせ、遅延、消費電力、カバレッジ、セキュリティの要件を強化した無線近距離通信技術です。
システム構造
NearLinkのシステム構造には、主に物理層、データリンク層、ネットワーク層が含まれます。
- 1.物理層はNearLinkの中核層であり、主に高周波信号の送受信を担当します。
- 2.データリンク層は主に、データのパッケージ化とアンパック、さらにデータの検証とエラー修正を担当します。
- 3.ネットワーク層は主に、データが宛先アドレスに正しく送信されることを保証するためのデータのルーティングと転送を担当します。
技術モデル
NearLinkは、「SparkLink Basic」モード(SLB)と「SparkLink Low Energy」モード(SLE)という2つのアクセスモードをカバーします。
- ・SLBモードは、ビデオ伝送、大容量データ共有、正確な測位などの高速、大容量、高精度の場面に用いられます。
- ・SLEモードは、ワイヤレスヘッドセット、マウス、車のキーなど、低電力、低遅延、高信頼性の場面をメインに用いられます。
NearLinkとBluetoothの違い
Bluetooth技術に比較すると、NearLink技術は基本的に以下の違いがあります。
- 1.伝送速度
NearLinkの伝送速度は、従来のBluetoothよりも高速なようです。ファーウェイ社は、NearLinkの伝送速度は307.2Mbpsに達し、従来のBluetooth4.2の12倍、Bluetooth5.0の3倍と主張しています。
2.遅延
遅延の点でも、NearLinkはBluetoothより優れているようです。これは、ビデオ通話やゲームなど、リアルタイムの対話が必要なアプリケーションにとって特に重要です。
3.作動距離
- NearLinkの作動距離は約40cmになるように設計されております。一般的なBluetooth技術の長距離接続とは異なり、近距離での高速かつ大容量のデータ送信に適します。
最後に
NearLinkは高速な伝送速度、超低遅延などの特徴があるため、家庭用電化製品、スマートホームシステム、自動車、工業生産など様々な領域に活用され、無線通信について新たな体験をもたらすことを実現できるでしょう。現時点世界範囲で普及するには課題があるようですが、近い将来、Bluetoothの代わりに、人々の生活の中で使用される可能性が大きいです。
参考資料
- NearLink無線近距離通信技術(SparkLink1.0)産業化推進白書(中国語) http://sparklink.org.cn/uploads/file/20221107174245_754.pdf